唐突ですが、皆さんは “孤独” と聞いて、なにを思い返しますか?
昨今では、社会問題として孤独死がテレビで取り上げられることも多く、老後への心配をなさる方が多くいらっしゃいます。
誰にも看取られず、亡くなった事にも気づかれずに迎える人生の終焉。
人間関係が希薄になっている現代の世相の表れだと指摘する声には、私も同意せざるをえません。確かに、一度 “孤独” に絡めとられてしまうとそこからは抜け出すことは容易ではありません。最後の旅路までが暗いものとなってしまうことは、今の時代、けして誇張ではないといえます。
では、“孤独” とは、逃げることのできぬ蟻地獄のようなものなのでしょうか?
結論から申しますと、私は “孤独” からは己の力で抜け出すことができるものだと考えています。今回のブログでは、孤独にならぬため、そしてそこから抜け出す方法といった、’’孤独とのつき合い方’’ について、お話しさせていただきたいと思います。
そもそも、“孤独” を感じるシチュエーションにはどのようなものがあるのでしょうか。前述の孤独死ももちろんそうですが、この感情は年齢だけに左右されるものではありません。みなさんもこれまでの人生の中で、孤独や寂しさを感じたことは一度や二度ではないはずです。つまり、孤独とは、人間ならば誰しもが抱える心の問題だといえます。
では、孤独を感じる例を挙げてみましょう。
・配偶者や家族を失ったことによる孤独
・自己中心的に生きてきた結果、誰にも振り返ってもらえなくって陥る孤独
・人とのコミュニケーションが上手く取れなくてふりかかる孤独
・誰かと一緒にいても、満たされぬ思いを抱えた孤独……etc.
こうしてみると、孤独を感じる状況って挙げてもキリがありません。まるで、道端に大きく口を開けた落とし穴のようです。
以前わたしの元に、孤独に陥ってしまった方の象徴のような人がいらっしゃいました。30代男性のAさんはある企業に勤めており、論理的な話し方のできる有能な人物のように見えました。しかし最近、職場内で孤立してしまい、仕事を円滑に進めることができないと相談にこられたのです。そこで話を聞いてみてみると、派閥争いや激しい出世レースがあったわけではなく、原因はAさん自身の中にありました。
このAさん、とてもドライな考えの持ち主で、「会社は生きていくためのお金を稼ぐ所であって、友達を作りに来ているわけでも、遊びに来ているわけでもない。とにかく仕事をするものだ」と、考えていました。
この考え自体が間違っているわけではありませんが、会社といえど、ひとつのコミュニティです。人間関係があってこその職場なのですが、彼は上司や同僚、後輩たちとのコミュニケーションに気を使ってこなかったのです。「仕事をちゃんとこなしているんだから、十分だろ?」、そう思っていたと言います。
こうなると当然ですが、職場の中で浮いてしまいますよね。つまり、Aさんは自ら孤独へと進んでしまっていたようなものなんです。多数の人間で仕事を行う以上、協調性や信頼関係なくしては、物事をスムーズに運ぶことはできません。つまり、Aさんは会社というものがどういう場所であるのか、そして、連係プレイに必要なコミュニケーションの重要性を、まったく理解していなかったのです。
みなさんもご存知の通り、コミュニケーションというものは一朝一夕で築き上げることはできません。人間は機械ではないのですから、ただ仕事をこなしているだけでは、心に血を通わすことは不可能です。例えば、休憩時間に世間話をするとか、ランチを一緒に食べにいってみるとか、そういう日々の行動によって少しづつ信頼関係が培われていくのです。彼はこういったことを理解できないがために、職場で孤立してしまうことになったのです。
さらに、このAさんの場合、コミュニケーションを重視せずに生きてきたため、人と人の交流によって生まれる楽しみに気がつくことができずにいました。まさに、孤独の中に佇んでいるような状況だったといえるのではないでしょうか。
今度は逆に、人との関わりを積極的に持つようにして、孤独から抜け出した方をご紹介しましょう。
Bさんという女性は、お子さんを立派に育て上げ、ご主人とふたりで仲良く暮らされていました。ですが、そろそろ老後の生き方を模索していこうとしていた時期に、ご主人が心臓発作で倒れられ、あっという間に亡くなられてしまいました。それまで病気らしい病気もせずにきたご主人が突然旅立ってしまったものですから、心構えをしていた訳もなく、目の前が真っ暗になったといいます。
当時、息子さんはすでに独立し、新たな家庭を築いていたため、一緒に住むことは子どもたちへの負担になると考え、Bさんはひとり暮らしを選択します。でも、長年連れ添ったパートナーを失った喪失感は強く、引きこもりのような生活が続いたそうです。
そんなBさんにも転機が訪れます。ご主人が亡くなられてから3年ほどの月日が流れたある日、彼女ははたっと気がついたといいます。
「このまま今のような生活を続けて、私の残りの人生はどうなるのであろう」
落ち着いた気持ちで、これまでの3年間を振り返ってみたところ、「なにも得るものはないし、なにも残されていない」と思いにいたったそうです。
そこで、まずは家の外に出て人とコミュニケーションをとろうと思い、かねてから興味のあった合唱サークルに参加しました。60歳を超えてなお、新しいことへ挑戦しようとするバイタリティ、なかなかできることではありません。とても勇気とパワーのいることだったはずです。そして、このサークル活動が彼女の心を癒すこととなります。
Bさんが仰るには、合唱の練習も楽しいが、なによりもサークル仲間とのたわいもない会話や、一緒にご飯に出掛けるといった、些細なことが楽しくて仕方がないといいます。そのときの彼女の瞳は輝いていて、素晴らしい笑顔でした。また、そのときに彼女はこうも語ってくれました。
「今でも主人のことを愛していますし、思い出さない訳ではありません。でも、主人はもう向こうに行ってしまった人で、私はこの世に残っている人。だから、生きていかなければならないし、孤独でいることもできないと思ったのです」
このようにBさんは自分自身の力によって、孤独から抜け出すことに成功しました。これはなかなかできることではありませんが、なにも彼女が特別だからという訳ではありません。人は誰しも、自分の力で孤独に打ち勝つことができるのだと、教えてくれているのだと思います。
孤独というものは、人と人の隙間に生じてくるものです。つまり、周囲から “孤立” してできた隙間に、“孤独” という負の因子が入り込んでしまうといえます。ですから、孤独に陥らないためにも、また孤独のさなかにいる方はそこから抜け出すためにも、人と人との交流を大切にしていかなければなりません。
最後に、もうひとつの “孤独” について考えてみましょう。
Aさんにしろ、Bさんにしろ、人が自分の周りから去ってしまったことによって、孤独に陥りました。でも、孤独とはそれだけではありません。冒頭にあげました、“誰かと一緒にいても、満たされぬ思いを抱えた孤独” というものがあり、これがたいへん厄介な相手です。
誰かといても、孤独を感じてしまう。とっても寂しいことだと思うのですが、その原因は、どこからくるのでしょうか。
私が思うに、これは相互理解の欠如なのではないかと思います。簡単に申しますと、「相手のことがわからない。こちらのことがわかってもらえない」という、解り合えない状態が、この感情を生み出すのです。
理解しあえない理由はさまざまです。相手が受け入れてくれないこともあるでしょうし、問題が自分の中にあることもあります。つまり、「理解して!」っと言いながら、自分は相手に心を開いていない。そんな状態です。
人間関係というものはおもしろいもので、相手が心を開いているのかどうか、敏感に察知することができます。自分は心の内側を見せないのに、相手には開示を求める。そんな不公平なことはありませんよね。本当に理解し合うということは、互いが互いに本心を見せ、それを認め合うことから始まります。
よく、ここでミスを犯してしまいがちなのですが、わかりあおうと思うあまり、「自分はこうなんだ!」「自分はこう思ってる!」っと、理解してもらおうというアッピールばかりをされる方がいらっしゃいます。
気持ちはわからないでもありませんが、これでは決してわかりあうことはできません。できたとしても、片方が受け止めるばかりの、どこか歪な相互理解だといえます。
ですから、みなさんにも忘れないでいただきたいのが、誰かとわかりあいたいと思うならば、まず、相手のことを理解しようと努めること。これが肝要になってきます。
もしあなたが、誰かのことを理解しようと真摯な態度を見せていれば、それは必ず相手にも伝わります。すると、その相手はあなたへの信頼を厚くし、あなたのことを理解したいと思うようになるでしょう。こうやって、理解し合っていくことが人間関係の正しいあり方なのではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか。すでにお話ししました通り、“孤独” というものは人と人の間に生まれるものです。ですから、人との交流を密にすることよって、ある程度は防いだり、軽減させることができます。
そのためにも、まずは基本的なこと、「人との和合を求め、大事にする」「相手の話や心を理解しようと努める」そして、「人はそれぞれ違うということを認め、多様性を受け入れる」といったことに気をつけて日々を過ごしてみてください。そうすれば、自ずと孤独は遠ざかり、心穏やかで楽しい生き方が目の前に広がっていくはずです。
【YouTubeチャンネル】
「運命が丸裸になる」と、
驚きの声、声、声!!
【木村藤子の公式サイト】
【私にご質問いただけるメルマガはこちら】
・note ・foomii ・まぐまぐ のいずれかで登録できます。
note