ここでは、『人間はなぜ生まれてくるのか』にあげた「生老病死」の二番目にあたる「老い」について、お話ししたいと思います。
この「老い」に関しても、シワや白髪が増えたり、皮膚がたるむなどの老化による外見の変化、また、体力の低下や体の機能、臓器の衰えなど、さまざまな苦しみが伴います。
とはいえ、人はみな、おぎゃーと生まれたそのときから日々、死に向かって生きていくわけで、私がここで説明するまでもなく、「老いる」ということは誰しもが避けて通れないものであることは、みなさん、よくご承知でしょう。
最近、美容の分野では「アンチエイジング」といった名称で、多くの美容法や化粧品などが出回っており、お金や手間をかけさえすれば、肌の老化を食い止め、若々しく美しい外見をかなり保てるようになってきているようです。
もちろん、見た目を整えることは、それはそれで好ましいことだと思いますが、はたして精神面はどうでしょうか。
お肌に気をつかうのと同じように、精神面を美しく保つための努力をされている方は、いったい、どれくらいいらっしゃるでしょうか。心のことは、肌のように目には見えませんから、自分で意識していないと、それこそ、お手入れ不足であっても一向に気がつかない、ということもあります。
また、「老い」という言葉からは、どうしてもマイナスイメージが先行しがちですが、一方で、「老成」「老熟」といったプラスイメージを伴うような言葉もあります。つまり、人として「成熟」し、「円熟味」を増していくように心がけることが、「美しく老いる」ことにつながっていくわけです。
要するに、「美しく老いる」ためには、外見を一生懸命に整えるだけでは不十分で、お肌のお手入れをするように、心もきれいに磨くことが必要なのです。
では、どんなことをすればいいのでしょうか。
そのために大切なのは、まず知識を得ることです。なぜなら、本を読んだり、人の話に耳を傾けるなどして、さまざまなことを学べば、ものの道理を知ることができ、それが、自分の我を抑えたり、相手を許すことのできる広い心を作ることにつながるからです。
また、年を重ね、いろいろな経験を積んでいけば、社会の常識というものに関する理解も深まっていくでしょう。常識を正しくわきまえれば、自分の感情を控えめに表現したり、表に出ないよう抑えることもできるようになるはずです。そうすればおのずと、人間関係も丸く収まっていくようになるでしょう。
その一方で、たとえば、これまで仕事や子育てに一心不乱に取り組み続けた結果、ある程度、年を重ねた年齢になったにもかかわらず、人生において必要な知識や教養を身につけることができていなかったとしても、あわてることはありません。
なぜなら、そういったものを身につけるに際して、いくつになったからもう手遅れ、ということはないからです。いわば、人間は死ぬまで、自らの成長、成熟を目指す存在といえるのです。
ですから、そういったものが自分には十分に身についていないな、と気がついたなら、本を読んだり、人生を描いた映画を観たり、尊敬できる人の講演会に行くなどして、地道に知識や教養を高めていけばいいのです。
要は、その人の考え方や行動、心がけ次第ということです。
『美しく「老いる」ということ②』に続く↓
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