今の仕事にとくに不満を抱いているわけではないけれど、やってみたかった仕事がある。そっちの道に少し進んでみるけれど、なかなか思うようにいかない。
ふとした瞬間に冷静になり、果たして自分が進もうとしている道はこれでいいのだろうか? 考えれば考えるほど、どの選択肢を選んだらいいものかわからなくなってしまった。
ある相談者の男性(30代)は、教員になるという夢があり、民間企業で働きながら教員免許を取るために通信制の大学に在籍していると言います。しかし、教員になるにあたって、〝教員になるまでのハードル〟が不安で不安でしょうがなく、諦めたほうがいいのでは? とも思ってしまうそうです。
転職の悩みというよりも、〝自分の道を信じて進んでいく方法〟を探っていたのです。
〝実体験〟で自信をつける
彼は一見すると落ち着いているのですが、かなり強い我を持っているようです。反面、少年のような純粋な部分も持っています。しかし、それを上手に使うことができずに、対人関係などで苦労してしまっています。たとえば、いい人を演じるために我慢しすぎるとか、必要以上に深読みしてしまうといったようなことです。
大学は国立の大学を出て、一般企業に就職。仕事に対してこれといった不満はないのですが、すがるような仕事でもないと考えていました。自分自身が信じられないため、人のことも信じることができず、彼女もできたことがなく、友人も少ないと言います。
彼は自分の置かれている状況、これから進もうとしている方向、障壁、そうしたことを理路整然と考えることができるのですが、彼は考えすぎるがゆえに未来に対する不安が大きくなってしまって、自分が進みたい道を信じることができなくなっていたのです。
彼の場合、仮に教師になったとしても、またはほかの一般企業に転職したとしても、同じように転職……といったことの繰り返しになるような気がします。というのも、今の性格上、どんな職に対しても満足感を得ることができないのではないかと思います。
〝考える〟というのはとても大切な能力ですが、彼の場合は自信がないためにネガティブに考える癖があるようで、考えれば考えるほど縮こまってしまい、実際に行動に移すことがなかなかできないのです。こういうときは、転職をするタイミングではないのではないでしょうか。
自分に自信が持てない原因はさまざまですが、彼の場合は仕事の能力の問題というよりも、人間関係をうまく築けないことに対するコンプレックスが大きく影響していると思います。
彼のように強い我を持っている方は、ある種完璧主義の理想家なのですが、完璧を求めすぎるために目標を達成することができず、その時点で「失敗した」と判断するために自信を失い、自分の能力に対して不信感を持つため、人のことも信用できなくなってしまうことがあります。
人のことを信用していないため、会話の内容は当たり障りのないことばかりになってしまいます。そのようなコミュニケーションでは、人との絆を築いていくことはできません。
彼の場合は、心の内側にいる少年のような純朴さを、〝自分への不信感〟が押さえ込んでいたのだと思います。その隠れている純朴さを素直に出していけば、人とのコミュニケーションは改善すると思います。
彼は最終学歴で国立大学を卒業していますが、ご両親からは「◯◯しなさい!」「◯◯したらダメ!」といったような命令口調できつく教育されていたようです。
こういう教育の仕方をしてしまうと、子どもは〝自分で考える〟機会を失ってしまいます。人間は、自分で考えて行動して、それが成功したときに自信を持つものです。彼は、その機会がほとんどなかったのかもしれません。
とはいえ、時間を過去に戻すことはできません。
今の自分の状況に疑問を感じているのであれば、現実を受け入れて自分のことを変えようと前に進むべきなのではないでしょうか。
彼のような方の場合は、〝自分で考えて行動してみる〟ということが大切です。これをやらないことには、自信をつけることは難しいと思います。人から「あなたは大丈夫!」と言われ続けて自信がついたとしても、実際に〝自分で何かやって成功した〟という〝実体験〟が伴わなければ、その〝自信〟はただの高すぎるプライドになってしまいます。
自信というものは、人の言動に大きな影響を与えます。言動とは人とのコミュニケーションのための道具ですから、自信のあるなしで人に与える印象は180度変わることもあります。
また、自信があるだけではなく、そこに謙虚さを加えることができれば、人としての魅力あふれる人物になることができるでしょう。魅力のある人のところには素敵な人が集まってきますから、物事が自ずとうまく回ります。
彼自身、自分でうっすらと気づいていたことですが、「今の仕事が自分に合っているかどうか?」「自分に合う仕事は何だろう?」と考えて中身のない転職を繰り返すよりも、自分自身の欠点を直したほうが、いろんな場面でうまくいくようになります。
基礎がよくない家は雨風災害に弱く、時には倒壊してしまうことだってあります。人間もそれと同じように、人間性が備わっていなければ、転職したとしても同じことを繰り返してしまうのです。
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