『表現ベタですれ違う心①』の続きです
こんな例もありました。ふたりで相談に見えた六十歳代のご夫婦です。
「私の長男が今、ガンで入院しているのですが、命は大丈夫でしょうか?」
と奥さんが言うのですが、いろいろ話を聞いていると、どうしても年齢や状況が合わなくなってきます。そこで私が、
「ご病気の方は、あなたのご長男ですよね?」
と確かめると、一緒に来られたご主人も、
「お前の長男だよな」
とおっしゃいます。それでも話の辻褄が合わないので、その方が〝長男〟と呼ぶ方の生年月日を聞いてみると、相談者より年齢が上なのです。そこで私が
「ご病気の方は息子さんではなく、あなたの一番上のお兄さんですね」
と質問をしても、それでも違うと言います。こんなやりとりを何度もくり返して、やっと確認がとれるのです。
要するに、家の中だけで使っている言葉は、家族以外の人には通じない、ということに気づいていないわけです。これでは、友人との会話もうまくいかないのではないでしょうか。そして何より、こういった慣れの言葉が多く使われる環境で育った子供は、家の中と同じような発言や行動を外でもしてしまい、それがトラブルにつながることも多いのです。
また、このような「表現ベタ」の方は、往々にして、人の話を聞くことができず、自分の間違いも認められない場合が多いように思います。
たとえば、私が相談に答えようとしているときに、私の言葉をさえぎるようにして、ご自分の意見を言われるようなことが実に多いのです。
そうすると、神からの言葉をお伝えしようと思っているのに、大切なことがどこかに飛んでしまい、しっかりとしたアドバイスができなくなります。
そして、困り果てた私が、
「あなたは聞く側。私は答える側です」
と強く言うと、“悩んでいるのに何も言わせない”となるわけです。
私との会話に限らず、人との会話の中で、相手が話しているのに、自分が自分がと一方的に話したりしていると、相手の言おうとしている意味も理解できません。ここを直さなければ、ものを覚えることもできませんし、気づきを得ることもできなくなってしまいます。
自分は「表現ベタ」かもしれないと少しでも思ったなら、その欠点を認め、直していけばいいのです。人との関係を育むには、何といっても会話です。言葉が大切です。そのことをしっかりと頭に入れ、行動してほしいものです。
まずは聞き上手を目指し、相手の言葉を最後まで聞くように心がけ、相手の心も理解できるように訓練すべきだと思います。
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