青森の神様 木村藤子の公式ブログ 日々の暮らしから得る気づき

透視人生30年以上のキャリアで培ってきた、誰しもが幸福になる生き方、考え方をお伝えします。

思い込みの弊害

 思い込みはある考えに固執し、それが真実だと信じ込んでいる状態です。よい人間関係を築いていくうえでの思い込みの障害についてお話をしたいと思います。

 

 まず、人間はなぜ自分でもよく分からないうちに“思い込み”をしてしまうのでしょうか?

 

 “思い込み”には、お酒のように頭を麻痺させる作用があります。根拠のない事柄でも、我の強さや柔軟に考えられない頑固な性格や、親や周囲からの刷り込みなどによって強く思い込むことで、“考える”という行為をしなくなってしまいます。

 

 考えるという行為は、ともすれば大変な作業でもあります。自分の物差しではなく、できるだけ客観的な物差しで俯瞰して考えなければ、本当に考えているとは言えないと思います。考えるというのは、想像力と忍耐力のいる行為です。思い込んでしまえば、この“考える”という大変な行為をしなくても、簡単に結論を出すことができます。ですから、ついつい自分でも無意識のうちに、“思い込み”をくり返してしまうのです。

 

 しかし、そのような安心はそのときだけのもの、刹那的な安心に過ぎません。むしろ長い目で見ると、刹那的な安心というのは、その後さまざまな問題や困難に結びついてしまうのです。

 

 “思い込み”により人間関係がうまくいかなくなってしまうことも多々あるのがこの世の中なのです。

 

 人間関係というのは、当然のことながら自分だけではなく相手あってのことです。ですが、“思い込み”は自分の物差しだけを判断基準に、相手にもその意見を押しつけてしまいます。これでは人間関係がうまくいくはずありません。

 

 人間関係の悩みは多くの方が抱えている問題です。私のところにご相談に来る方の多くも、職場や家族、友人や恋人など関係性はさまざまではありますが、やはりこの人間関係の悩みを抱えています。その問題を解決して乗り越えていくには、思い込みからの脱却が必要なのです。

 

 それでは、人間関係がうまくいかない原因が、なぜ“思い込み”にあるのかということを、具体的にご説明していきたいと思います。

 

 年代に関係なく人間関係の問題というものはあるわけですが、その中でもまだ若い社会人の方に多いのが、職場での人間関係の悩みです。「上司に自分ばかりが叱られる」「同僚から仲間外れにされる」「みんなとうまくやっていきたいが、どうしたらいいか分からない」などの悩みを抱えている場合です。

 

 そんな方々に共通するのは「自分は上司の言う通りしっかりやっている!」「同僚のフォローもたくさんしてきた!」「自分は周りより仕事ができる!」といった自己を正当化する強い気持ちです。ですから、なぜ叱られたり仲間外れにされたりしなければならないのか理解できず、不満ばかりがたまってしまい、根本的な悩みを解決するに至りません。そもそも、なぜ自分がそういう状況になっているかという根本原因が自分の人間性にあるということを理解できないために、周囲が悪いと結論づけてしまっているのです。

 

 ですが、そんなときこそ自分の物差しによる言い分をグッとこらえて、できるだけ客観的な物差しで考えなければいけないのです。そうすれば「自分の仕事にはミスがあった」「上司に注意されているときも、心ここにあらずで聞いていた」「同僚のフォローを恩着せがましくしてしまった」「同僚がミスしたことを心の中で喜んでいた」など、自分の問題点が見えてくるはずなのです。

 

 社会に出てからまだ数年の若い方は、学生の延長のような気分を持っている場合が多く、どうしても自分の物差しでしか考えられず、自分を正当化するための“思い込み”をしてしまいます。そしてその“思い込み”が人間関係がうまくいかない原因となってしまっているのです。

 

 また、比較的年配の方に多く見受けられるのですが、プライドの高さが邪魔をしてしまって、人間関係がうまくいかない場合もあります。プライドの高さというのは、それこそ“思い込み”の典型なのです。

 

 以前、私のところに50代後半の男性がご相談にいらっしゃいました。その方はお子さんも独立され、これから続く奥様との生活について悩んでいました。「私に何か欠点があったら教えてください。改めたいのです」とおっしゃるので、私はその方を透視しました。

 

 そして「奥様と会話をするとき、表現に気をつけてください。いつも威圧的な言葉を投げかけていますね? 奥様はあなたの言葉に疲れきって、離婚を考えていますよ」と申し上げました。すると、それまでは穏やかにしていたのに、突然声を荒げて「夫婦喧嘩などしていない! あなたに何が分かるんだ! 私は国立大学を出て、一流商社の重役だ。真面目に仕事に打ち込み、ふたりの息子も立派に育てた。そんな私が愚かだと言うのか!」と、奥様に話すのと同じように威嚇するように大きな声で言うのです。

 

 そこで私は、「あなたは、本当は優しくて真面目な心を持っているはずです。その証拠に、こうして奥様とのことが心配で、奥様の気持ちが気になってここにいらっしゃったのではありませんか。なぜその温かい心のほうを使わないのですか? なぜプライドだけを高くして、みんなに対して、とりわけ奥様に対して威嚇するように接してしまうのですか?」

 

 するとその方はしばらく黙っていましたが、やがて思い口を開き、昔からどうしても人に優しく接することができないこと、お金が第一と考え、出世ばかりが頭にあったこと、そして、実は夫婦ゲンカも毎日のようにあり、最近はほとんど奥様が口を聞いてくれないことなどを話し始めました。そして、このままでは奥様に離婚されてしまうのではないか、立派な家もあるが奥様と離婚したら孤独になってしまいそうで不安だと正直におっしゃってくれました。

 

 プライドの高さというのは、自分の物差しで自分を守ってしまう“思い込み”の典型なのです。確かに、有名大学を出て、一流の会社に勤めて、重役にまでなる、そのひとつひとつは努力なしでは成し得ないことですし、一般的な物差しで考えても立派なことだと思います。しかし、その方のように一般的な物差しが立派だからといって、それを自分の物差しを正当化するための後ろ盾に利用することは、自分の“思い込み”を他人に無理やり許容させているということなのです。

 

 くり返しになりますが、思い込みから脱却するためには、自分の物差しではなく、できるだけ客観的な物差しで俯瞰して考えなければなりません。簡単に言えば、相手の気持ちになって考えることなのです。

 

 プライドの高さというのは、大人になる前に養われる場合がほとんどです。学生時代に成績がよかったとか、運動神経がずば抜けていたとか、何かの分野で人より優れていて、ちやほやされて育った人の場合、そして自分でも天狗になってしまった場合、なかなかその感覚から抜け出せない場合が多いのです。

 

 プライドというのは“思い込み”の城のようなものです。そのまま年齢を重ねていくとプライドの城壁はどんどん高くなり、硬く自分だけの物差しを守ってしまいます。しかし、先ほどの男性のように、思い込みのせいで心許せる親友もいないまま、周りからは疎ましがられ、挙句の果てには奥様からも愛想をつかされてしまっては元も子もありません。

 

 これではせっかくの人生、いくら立派な家やお金があっても、孤独で虚しい老後を迎えてしまっては悔やんでも悔やみきれないものになってしまいます。どうかみなさんも高すぎるプライドは人生の仇となってしまうことを、しっかりと理解していただきたいと思います。

 

 ここまではどちらかというと、自分は正しい、自分はすごい、という“思い込み”について説明しましたが、反対に自分のことを無価値だと思ったり、必要以上に悪く思う“思い込み”というのもあります。被害妄想と言ったりもします。

 

 自分なんて周りから悪く思われているんじゃないかと不安になってしまい、人とのコミュ二ケーションがうまくとれなくなり、殻に閉じこもってしまうのです。挙句の果てに、人間関係を改善しようとも思わなくなってしまい、はなから人間関係を諦めてしまうのです。

 

 以前、20歳の女性が私のところにご相談にいらっしゃいました。彼女は大学生なのですが、もうほとんど大学には行っていないと言うのです。親にそのことは言えず、仕送りをもらいながらワンルームのアパートで暮らしているとのことでした。

 

 アルバイトをしたり友達に会ったりすることもなく、出かけるといえば近所のコンビニくらいで、あとはアパートの部屋でじっとしている、と言うのです。ですがそろそろ大学から親に連絡がいってしまい、大学に行ってないことがばれてしまう。そうしたらもう仕送りも止まってしまうだろうし、どうしたらよいか分からないと言うのです。

 

 透視をしてみると、彼女は前に別れた彼氏が原因で、自分に自信がなくなり、人と接するのが怖くなってしまう、対人恐怖症になっていたのです。

 

 彼はふたつ年上の大学生で、彼女が大学1年生の頃からおつき合いを始めたそうです。最初は初めての恋愛に夢中になって楽しい毎日だったそうですが、おつき合いが1年を過ぎた頃から、彼が彼女の人格を事細かに否定するようになったそうです。

 

 来る日も来る日も「お前のここが気に入らない、だからお前は駄目なんだ」と口うるさく彼女に言うようになりました。彼のしたことは若い男性にありがちな、都合のいい潔癖さによる身勝手な行為ではありますが、彼女は大好きな彼の言うことですから真に受けてしまって、どんどん萎縮し、それでも別れたくないがために彼のご機嫌をとるようになっていったそうです。

 

 彼は散々彼女の人格を否定した挙句に、結局彼女を捨て、ほかの女性とつき合い始めました。それでも彼女は「こんな自分だからいけないんだ」と彼を責めることもなく、むしろ「私が悪い、私は最悪な人間なんだ」と自分を責め、すっかり自分の価値を見失い、自信をなくし、友達にも大学の先生にも会うことができなくなってしまったのです。

 

 それこそ、アパートのほかの住人やコンビニの店員にすら顔を合わせるのが怖くなってしまったそうです。そんな中、勇気を振り絞って私のところに来てくれました。

 

 彼女の場合、自分の物差しでしか考えられないという“思い込み”とはちょっと違って、「自分の物差し」をなくしてしまい、「彼の物差し」を疑いもなくそのまま受け止め、自分の物差しにしてしまったということなのです。

 

 相手の気持ちを考えることをしなかった彼の言動はもちろん問題なのですが、彼の人間性や自分の気持ちを把握できなかった彼女にもまた問題があります。

 

 まだ若く、失恋の痛手の中にある彼女にそこまで厳しいことは控えるべきだと考えましたが、「あなたの寂しさは理解できますが、あえて厳しい言い方をすれば、自分で自分のよいところはどこかと考えるということを少しだけ怠けていたのではないでしょうか。今のあなたの頭の中にあるものは、過去から抜け出せずに、自分をダメな人間だと決めつけてしまっている被害妄想です。彼の感情論に惑わされず、自分の頭で考え、自分の口で喋って、ちゃんと人と接することができたら、誰もあなたのことを悪い人間だなんて思わないでしょう。私とだってほら、こうして普通にお話ししているじゃありませんか。恋愛の勉強をしたと思いなさい。まだ若いのですし、たくさんたくさん恋をしてください。50歳になって今のことを思い出せば、“ああ、あの彼と結婚しなくてよかった! あんな彼と一緒になってたら大変だった!”と思いますよ」と伝えました。そして最後に冗談まじりに「でもあなたが今しなくちゃいけない勉強は、大学の勉強でしょ。バランスをとって、恋も勉強もどちらも頑張りなさい」と言いました。すると彼女はやっと笑顔を見せて「はい! 今日はありがとうございました」と帰っていきました。

 

 さて、人間関係がうまくいかない原因が、なぜ“思い込み”にあるのかという事例をご説明してまいりました。

 

 思い込みから脱却し、人間関係をよいものにするには、その“思い込み”に気づき、偏っていた今までの自分の物差しを努力によって改めていく必要があります。問題の原因に気づき、努力して直す。それができなければ、結局は歪んだ人間関係にしかならないのではないでしょうか。

 

 

 

 

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