「あの人とはなんだか馬が合うんだよね」
友人、恋人や夫婦、親子や会社の同僚など、人にはさまざまな人とのつき合いがあります。そこで多くの方が気にされるのが、「相性」です。
相性がいいか悪いか知りたがったり、相性が悪いのでどうしたらいいかを多くの人が悩みます。
そんな相性について、こんなふうに考えてはいないでしょうか?
「相性は生まれついてのものだから、合わないのであればどうしようもない」
人生では、カルマによって多くの人との出会いがあります。カルマによって出会い、相性が合ったり合わなかったり、次第に合うようになったり、逆にいつしか合わなくなったりを、いろいろな人とくり返して生きているのです。
歯車を想像してみてください。
ひとつの歯車はあなたです。歯車がひとつでは回りませんから、隣にひとつ歯車を置きます。その歯車は友人のひとりです。歯車の噛み合わせがよければ、一方が回れば、もう一方も回ります。ふたつとも順調に回っているところに、3つ目の歯車が置かれました。別の友人にしましょう。すると、なんだか歯車の噛み合わせが悪いようで、3つともうまく回ることができませんが、なんとか回ることができています。
人間の相性、人間関係もこれと同じように、歯が傷んで欠けていたりして噛み合わせが悪い部分があると、必死に回っていたとしても、両者の噛み合わせは悪くなっていますから、うまく回りません。そのままにしておけば、むしろガッチリと噛み合っていないことによって、時おり変な形で歯が当たってしまって、一方を傷つけてしまうこともあるのです。
人との出会いは、否応なしに訪れます。出会った人との歯車の噛み合わせが悪いとき、そのままでは傷つけ合ってしまうので、歯車を研磨しなければいけません。放っておくと自分の歯車はどんどんいびつな形になっていき、どんな歯車とも噛み合わなくなってしまうのです。
ここで、ある30代の女性の事例をご紹介いたします。
「1年間おつき合いしている男性がいて、そろそろ結婚を考えているから相性を視てもらいたい」という相談で彼女は私のもとを訪れてきました。
相手の男性を透視してみると、真面目で落ち着いた誠実な方なのですが、彼女は結婚に対して躊躇しているのです。
「彼はいい人なんですが、物足りないんです。生活も地味で、お給料も人並みです。一緒にいても真面目すぎて刺激がないし、このまま結婚していいものかどうか……」
ふたりの相性は決して悪くはないのですが、彼女は彼の上辺しか視ていないので、彼の内面の魅力に気づくことができなかったのです。
彼は確かに、彼女の言うように派手さはなく、堅実な人生を歩んでいる方でしたから、人によっては物足りない人と思ってしまうかもしれません。しかし、そのことと彼の人格の話は別です。
彼は人間としてとても誠実かつ実直な人柄でした。いつも冷静に判断しようとする人なので、周りからは “堅実な人” “真面目な人” といった良い評価を受けるのです。
私は彼女に伝えました。
「ふたりの相性は、築き上げていけば素晴らしい相性に進展します。あなたは彼の上辺だけを見て迷っていますが、彼には内面の素晴らしさがあります。それに気づいていないようですね?
彼はあなたがヒステリーを起こしても『うんうん』と話を聞いてくれますし、感情的にあなたを非難することもほとんどないでしょう? 彼の内面をよく知るようにしてください。家族をとても大切にする人です」
彼女は「相性がいいか悪いか?」だけを聞きに来たので、私の言葉を聞いて納得がいかないようでした。私が聞きたいのはそんなことではなく、彼との相性について、私から「最高の相性です」という言葉が欲しかったようです。ですから、まさか自分に問題があるなどとは思ってもいない様子でした。
恋愛を主観的に捉え、「自分の至らない部分はどこだろう?」ということをまったく考えず、「相手から何を得ると幸せになれるだろう?」といった表面的なところしか見ることができない彼女は、“自分の心の中にある結婚相手の条件” を、ただ満たしたいだけなのです。
ステータスで一緒にいる人とは、そのステータスがなくなれば破綻してしまうのです。
せっかく相性がいい人に出会っているのに、このような考え方では良い関係性を築いていくことは難しくなってしまうのではないでしょうか。
私は、相談者がどうすれば幸せの道を歩めるのかを第一に考えます。その場合、彼女にとっては「相性がいいか悪いか」ということだけではなく、自分の欠点も知り、相手の内面の良さにも気づくことができる人間になることです。
彼女にそう伝えると、納得する部分はあったようですが、十分受け入れることはできないでいる様子でした。
何か問題に突き当たったとき、その問題の本質を見極めなければ、表面だけに目がいってしまうので、解決することが難しくなります。人との相性は、いいか悪いかといったような単純なものではないのです。
数年後、彼女から一枚の写真と共に、お手紙が届きました。
写真を見ると、幸せそうに笑う家族3人が写っています。
彼女でした。
手紙を読むと、鑑定を受けた翌日になっても彼女は半分納得ができず、帰りの新幹線で必死になって私の本を読んだと書いてありました。
そして、とにかく彼の内面を “意識して” 見るように普段から心がけてみると、それまで見えていたものとは違う、心が癒やされるような彼の内面がたくさん見えてきたのだそうです。
私のところに相談に来てから2年、そのようにに彼のことを見続け、そして、ついに「この人しかいない」と感じ、結婚に至ったと言います。
私がお伝えできるのは、幸福になるための考え方、生き方であって、相談者がどういった選択をするかという部分までは、悲しいかな決めることができません。
彼女のように気づいて行動することができる場合もありますが、残念なことに、気づくことができない人も大勢います。
人はどうしても、“見た目” に左右されてしまいます。それは人間としてやむを得ないことなのかもしれませんが、今お話ししてきたような知識を吸収して、人の内面を見ると同時に、自分の至らない部分を探して改善することを意識しながら、人とのコミュニケーションをとっていこうとすることが大切なのです。
「どんな選択をすれば、良い未来になるか?」
気づく前の彼女のように、見た目だけで人を評価することは、本当の意味で人との相性を理解しているとは言えません。
自分だけの「結婚相手の条件」を満たすためであれば、初めの相性が悪いと関係を諦めてしまったり、相性がいいと思い込んだり、せっかく育てていくことができる相性も捨ててしまうことになります。
理想的な相性とは、出会ったときの相性の良し悪しではなく、生活をするうえでお互いを思いやり、気遣いながら、両者で育て上げる相性のことを言います。
人生の長さが飛躍的に延びている今、その長い時間を、相性の良し悪しだけを基準に考えて過ごしてひると、人に対しての寛大さがなくなってしまい、重箱の隅ばかりをつつくようになり、イライラがつのるばかりではないでしょうか。
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