今このブログを読んでくださっているあなたは、これまでどんな人生を生きてこられたのでしょうか。人それぞれ、辛いこともあったでしょう。上手くいかないことだらけで、何か自分の人生を変えるきっかけを得るために、読んでくださったのか。はたまた今この瞬間、生きていることが楽しくて仕方ないから、その一瞬を少しでも長く保とうと、非常に前向きなお気持ちかもしれませんね。
ここでは、今までの自分の人生の中で、最高にうれしかった瞬間について思い出してみましょう。たとえどんなに現状に不満があったとしても、もの心ついてこの方、一度たりとも「うれしい」という感情を抱いたことなく生きている方はいらっしゃらないと思います。
子供の頃から自分の生きてきた道をゆっくりと辿ってみてください。どうでしょう。今、あなたの心の中には、今までの人生を彩るさまざまな幸せなシーンが浮かんでいるのではないかと思います。
それがどんなことであれ、あなたが選んだ一番幸せな瞬間は、今からどのくらい前のことでしたか? もしそれが、今から何年も、もしかしたら何十年も前のことだとしたら、それはあなた自身の持つ心の鏡が曇ってしまった結果かも知れません。最高にうれしいと感じられるということは、その瞬間、あなたの望んでいることが叶えられ、心の底から満足感を得たということに他なりません。
「満足した」と感じられるかどうか。これは「足ることを知る」ということなのです。足ることを知ることが出来るかどうかで、人生の楽しさは180度違ってしまいます。
あるとき拝殿に、パッと見ただけでも非常に高価だということが分かるようなスーツを着て、「自分の会社の未来を見てほしい」と中年の男性がいらっしゃいました。非常にエネルギッシュで経営者としての自信をお持ちのようでした。透視してみると、その男性は文字通り朝から晩まで何かに憑かれたかのように働いています。週末も妻子と過ごす時間がもったいないとでも言うように仕事漬けで、その仕事ぶりは常軌を逸しているように思えました。そして部下にも、自分と同じように働くことを要求しているのです。会社の業績は上向いているのですが、それだけでは満足できず、もっともっとと社員にはっぱをかけています。
次に神が視せたのは、家庭を顧みない夫に愛想を尽かした妻が離婚を申し出る姿でした。そして、男性のあまりに激烈な仕事ぶりについて行けなくなった社員が結託して、一斉に提出した辞表を目前に呆然としている男性の背中だったのです。
私は男性に神が視せたそのときの様子を伝え「ご自分の会社を大切にするのは良いことです。しかし社員に対して、トップである貴方の言動には注意すべき事柄も目立つようで、これを直さなければ会社が成り立たず壁にぶつかりそうです。また妻子に対しても、妻子のために仕事を頑張っているはずの貴方が、今のままではどうも生活のバランスがとれていないように見えます。仕事はとても大切な事です。しかし、奥さんや子供さんの気持ちを今一度深くお考えになる事も同じように大切なことであり、大事な時期なのです。奥さんが今、心に何か考えている事も悟れないでいる貴方の姿が視えます。今ならまだ間に合いますので、よく考えてみてはいかがでしょうか?」と問いかけました。
しかし、男性は「仕事こそ男の本分。もっと事業を拡大したいと思って、わざわざ時間をとって相談に来たのだ。それなのに事業の行く末が分からないなんてインチキだ。何も当たらないし、分からないじゃないか」と声を荒げます。
「私は貴方を救いたい! 助けたいのです。私の話を今一度、心を鎮めてお聞ききいただけないでしょうか? あなたがこのまま自分の欠点に気づかずにいたら、会社も家庭も失うのが視えるのです。妻子のため頑張り続けた貴方が、気づけないために将来苦しむ姿が残念で仕方がないのです。もし貴方が私の息子だったら、主人だったら、抱きしめて二人で気づいて直そうといいたいのです」と私は再度、男性に言いました。しかし、助けたい一心で涙がドッと溢れ落ちそうになる私の心とは反対に、「千円の価値もない!」と千円札をぶつけるように置いて行く男性の姿があったのです。
そのとき、私は千円の価値しかないことをしているのか、と寂しい気持ちになりました。
何事にも限度というものがあります。限度とは、節度とも言い換えられると思いますが、まず自分自身が健康で、一番身近な家族を大切に幸せにし、その上で仕事に邁進する。そういう環境を与えられていることを、家族はもちろん、従業員として働いてくれている社員に感謝しなければならないし、また「働かされている」のではなく、「働かせていただく」という気持ちで社員も働かなくてはいけません。そうでなければ、どんなに事業が成功しようと、もっともっとと欲を出すだけで心底満足することは出来ず、いつも不満だけを抱いてしまいます。
悪いカルマは、その不満を栄養にますます勢力を拡大していくのです。
「たとえようもなく幸せで心底満ち足りた」と思えた瞬間を思い出し、もっともっとと欲張るだけでなく、足ることを知るという感覚を思い出してみましょう。同じ景色に、今までは感じられなかった彩りを見つけられるかもしれません。
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