「受験に失敗した」
「たった一度の浮気から離婚に至ってしまった」
「飲酒運転で人身事故を起こした」
こんな失敗を経て、これからの人生をどうしたらいいかとか、こんな大変なことを私に引き起こした悪い霊を祓ってほしいという相談者が、私の拝殿にはたくさんいらっしゃいます。
その失敗が霊障で起こったのであれば、その霊が何を訴えたくてそんな災いをもたらしたのかは、神との会話の後、相談者にお伝えします。しかし、そうでなければ、そんな方々を前にして私が申し上げられることはいつもひとつです。
「自らの行いを振り返って、失敗の源は何だったのかに気づいて、自らの力で払いのけることこそが何より大切です」ということです。
それぞれの方には、それぞれの事情があります。
しかし、その大本に根を張る悪いカルマを絶たない限り、運命は変えられないという事実は同じなのです。
小さな失敗は大きな失敗や過ちに繋がっていくかもしれません。日々の小さな心がけが、毎日の習慣を作り、毎日の習慣はいつのまにか時を経て、あなたの生活を形作る基本となります。
直さなければいけないことをそのままにしていたら、いつしかそれが当たり前となり「気づかなければいけないことに気づけない」まま時が過ぎていくのは本当に不幸なことです。
最初の一歩を踏み出す方向が違っていたら、何十年か後にはまったく思い描いていないところへ辿り着いてしまうのです。ほんの些細な心がけがいつの間にか、人生を乗っ取ってしまった例をお話ししましょう。
ある女性が私の拝殿にいらっしゃいました。
相談事は「前の職場で虐められて、仕事を辞めざるをえなくなりました。働くには大好きで、一生懸命何でもやるつもりです。今、二つの会社から内定をもらっていますが、どちらの会社に行けば、より楽しく仕事ができるでしょうか」というものです。
お話の仕方もしっかりしていますし、言葉の選び方も適切で、笑顔のステキな女性です。
なぜこんなにステキな女性が幸せになれないのだろうかと不思議に思いながら、透視をしてみました。
すると、目の前の女性は、こうして自分が主役で話を聞いてもらっているぶんにはいいのですが、どんなときでも自分が主役でないと気が済まず、誰か他の女性にスポットが当たっていると、「あの人は不倫をしているようだ」とか「金遣いが荒く借金があるらしいので近寄らない方がいい」などと、周囲の人によからぬ噂を振りまいているのです。
しかも、それらはほとんどが作り話なのに、他人が誤解するようなポイントを上手に使い、信用させてしまうのです。
最初は皆が相談者の噂に騙されていたのですが、あるときに相談者の言ったひと言が本人の耳に入り、大騒動になった結果、周囲の人から相手にされなくなり、その会社を辞めることになったのが視えました。
目の前の女性は本当に感じが良く好感が持てますし、仕事に対しても真摯なようです。ですから「あなたが注目を集めるために嘘をついて人を陥れるようなことさえしなければ、どちらの会社に行っても大丈夫です。でも、その癖を直さなければ、どちらに行っても前の会社と同じようなことになりますよ」と忠告しました。
すると彼女は、「嘘って何のことですか。私は嘘なんてついたことない。私が知りたいのは、どっちの会社に行けばいいかということだけなのに失礼だ!」と怒り出しました。
改めて相談者を視てみると、嘘で自分の立場を良くするのは彼女にとって慣れ親しんできた方法のようです。相談者が五、六歳のとき、自分がお皿を割ったのにまだ弟がちゃんと喋れないのをいいことに、弟のせいにしているのが視えました。
仕事に対してはまじめで能力もあるのに、「とっさに嘘をついてしまう」という悪いカルマを浄化できない限り、相談者が幸せになることはないでしょう。
不愉快であっても、相談者が私の言ったことを心の底から受け止めて、自分の今までの行いを振り返り、反省し、二度と繰り返さない努力をしたなら、前世から続く「悪いカルマ」が消滅し、きっと幸せになれるのでしょうが、私のもとに訪れた相談者にその心の余裕はないようでした。
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