子供が熱中していることを、どこまでやらせてあげるのか?
そこに悩む親御さんは多いのではないでしょうか。ある40代夫婦の小学2年生の息子さんは、最近ゲームに熱中していて、うまくいかないと怒りちらして何回もやり直すそうです。
きりがないと思い、「次で最後」と約束をするのですが、今度はその〝約束〟が息子さんを追い詰めてしまい、〝親との約束〟と〝自分がやりたいこと〟の間に挟まってしまい、「こんな僕は殺さないといけない」と言って自分で自分をぶつようになったそうです。
この家庭には下に障害のある娘さんがひとりいて、母親は「娘にばかり気を遣っているから、寂しいんじゃないか……」「息子のいいところを自分が歪めてしまっているんじゃないか……」と、自分で自分を追い込み、子育てに対する自信をまったくなくしてしまっていました。
この息子さんは、かなり負けず嫌いな性格です。他人に負けたくないというのももちろんあるのですが、それよりも「自分自身に負けたくない」という気持ちが強いようです。
おそらく下の娘さんのことが関係しているように思います。親御さんとしては、「ふたりとも平等に接している」と思うのでしょうが、下の子のほうにどうしても手がかかってしまうぶん、上の子は少なからず不平等感を感じてしまうのかもしれません。
その裏返しとして、「自分が上手に何かをすれば親にほめてもらえる」、「自分のことを見てもらえる」という意識があるのだと思います。ですから、ゲームに限らず、些細なことでもうまくいかないと、自分を責めてしまいます。
〝負けず嫌い〟というのは、決して悪いことばかりではありません。たとえば、スポーツなんかでは負けず嫌いというのは非常に大切なものになりますし、仕事でも、何かを成し遂げようとするとき、負けず嫌いというのは非常に大きな力を生む場合が少なくありません。
ただ、何事もバランスが必要で、〝自分との戦い〟ではなく、〝人との戦い〟の場合、極度の負けず嫌いだと人間関係の部分で余計な揉め事を起こしてしまうこともしばしばですから、その点には気をつける必要があるでしょう。物事は極めれば極めるほど「自分との戦いだ」ということがわかりますが、この息子さんにはまだそこを考えるほどの知識がありません。
では、現段階で何ができるのか? ですが、何か少しでも息子さんができたことがあったら、心からほめてあげることが大切です。そのように、息子さんの気持ちを愛情で埋めてあげることができれば、ゲームに関しても、依存になったり、わがままになることもないでしょう。
大切なのは、目の前の〝本質を見る〟ということです。
子育ての場合、〝子供の才能を認めてあげる〟ということがとても重要です。テレビゲームについていえば、子供が〝熱中している〟という、子育てにおいて重要なヒントを目の当たりにしているのですが、「テレビゲームは子供にとってよくない」という観念が先行してしまって、「テレビゲームを彼がおもうがままにさせてあげるのがいいのか、悪いのか?」という極論になってしまっているところがポイントです。
熱中できるというのは何をするにおいても、とても大切なことです。熱中することは努力することにも似ています。無論、熱中している人は努力しているとは思っていません。
この熱中できるというのは、一種の才能です。子供のころは、誰でも何かに熱中することができます。しかし、その情熱は年齢を重ねるとともに、程度の差はあれど、なくなっていってしまいます。大人になってみたら、「熱中できることが何もない……」という方は、意外と多いのではないでしょうか。
ですから、人間にとって大切な〝熱中すること〟という能力を伸ばしてあげるのは、子育てのポイントになるのです。
そのように考えますと、この親御さんのケース以外にも、違う考え方ができるようになります。
息子さんの能力を伸ばすのであれば、ほかにも彼に〝新しい体験〟をどんどんさせて、ゲームのほかにも熱中できる事柄に出会う機会を与えてあげます。そして、うまくできたら必ずほめてあげます。そうすることで彼は親の愛を感じ、自分はちゃんと愛されているという絶対的な自信を持つことができるでしょう。
考え方を少し変えるだけで、まったく違う方向性から物事を見ることができるようになるので、それまでは思いつかなかったやり方を発見することができます。子育ては、子どもを育てるとともに、親自身も育っていくと言われるように、子供と愛情を持って接することで、たくさんの「気づき」を得ることができます。
物事の本質をとらえなければ、目の前の現実を見誤って、正しくない判断をしてしまいます。正しい判断をするには、多くの物事や事例を知っておかなければいけません。これが、私がいろんなところで言っている「知識」なのです。
多くの親が、自分たちの子供に対して「自ら考える人になってほしい」と考えています。その考え方は正しいのですが、知識がないために、そのやり方を間違えることがあります。思いが強いあまり、アドバイスをたくさんしすぎて、いつの間にか強制になってしまうのです。自分が敷いたレールの上を歩かせてしまっていることに気づけず、結果、子供を苦しめてしまいます。
子供に「自ら考える人になってほしい」と思うのであれば、親自身が「自ら考える人」でなければなりません。そのために知識を吸収しなければいけないのですが、それを怠っていれば、「自ら考える人」ということの本質も理解できないため、子供に対して「自ら考えること」の本質を教えることは難しいのではないでしょうか。
このように書くと「子育ては難しすぎる」と思い悩んでしまうかもしれませんが、究極を言えば〝愛情を持って〟子供に接すればいいのだと思います。
「子供の能力を伸ばすためにはどうすればいいか」といったようなことは、実は正解があるようでないものです。
それはなぜかというと、前提として〝正しい愛情〟というものがないといけないので、もしこれがない場合、親のエゴになってしまう場合があるからです。土台がないところに家を建てても、それは崩れてしまうのです。
親の愛情は、人間の核ともいえる部分です。幼少期に親の愛情が不足していたり、いびつにねじ曲がっていたりすると、その子は相手の気持ちを考えられないような人間になったり、自分の殻に閉じこもったり、さまざまな問題が起きてくることがあります。
人間にとって親の愛情は、土台であるとともに、最後の砦でもあるのです。親の愛情があるから、人間は前に進むことができ、成長することができます。人間のエネルギーとでもいえるでしょうか。親自身、このことを強く意識してそのように子供と接していけば、子供は素晴らしい人間に育ちます。そして、生まれてくる未来の孫にも正しい愛情を与えることができますから、家族みんなが幸福でいられるでしょう。
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