みなさん、「家族」について深く考えたことはありますか? 多くの場合、家族というと「血のつながり」をイメージするのではないでしょうか(もちろん、養子縁組などによる家族もあります)。
でも、よくよく考えてみると、家族を構成する基本といいますか、もととなっているのは父親と母親です。そこには血のつながりはありませんし、お互いに小さい頃から一緒に育ってきた訳でもない他人同士です。
ですから、生活習慣の違いや食の好みの違いなどが当然あります。そうすると、相手や相手の家族に対して嫌だと思ったり、不満に思ったりすることも出てくるでしょう。
結婚当初は我慢できても、夫婦生活が長くなるにつれて言葉で責めるようになったり、夫婦ゲンカの原因になったりすることも往々にしてあります。
また、結婚相手の家族とのつながりを極力持たないようにしようとする方も多くいらっしゃいます。特に、妻が夫側の親族との関係を持つことを嫌う傾向が強いように思います。
これは、最近の日本の家庭においては妻のほうが強いために、そうなるのではないかと思います。特に、子どもができてからはより一層妻が家庭を切り盛りしていきますから、その傾向が顕著になってくるようです。
自分の家族と夫側の家族と考え方や習慣が違うのは当然です。それぞれの家に、代々受け継がれてきた「伝統」や「習慣」があるからです。それを理解せずに、相手の家に対する不満や悪口を夫にいってしまう方が数多くいらっしゃいますが、これは絶対にやってはいけないことです。
そのような考えを持っていては、お姑さんとうまくやれないのは当然ですし、やがてはご主人との関係もうまくいかなくなるでしょう。自分が育った家を否定されるのは、誰だって嫌なものです。もし、自分がいわれたら腹が立つはずです。そのような想像もせず、違う価値観を受け入れずに感情だけで「嫌!嫌!」というのは自分で不幸を呼び込んでいることと同じです。
どうしても我慢できない不満があるのなら、きちんと夫婦で話し合いの場を持つべきです。
子どもがいるのならばなおさらだと思います。子どもにとっては、父親側、母親側、どちらの家族も大切な親族です。どちらも、大好きなおじいちゃんおばあちゃん、従姉妹のお兄ちゃんお姉ちゃん。そこに分け隔てはありません。
自分が子どもの気持ちであれば、両親のどちらかだけの家族を大切にするのではなく、どちらの家族も大切にするはずです。
また、今の日本は核家族が主流ですが、どちらの側の祖父母とも関係を切らずに、しっかりとつながっていっていただきたいと思います。それは、子どものためでもあります。
おじいちゃんおばあちゃんには、人生の先輩としての知恵と知識と経験があります。知恵や知識や経験がいかに大事なことか。それを、子どもに教えていくのが親の務めでもあります。
そのために、自分の両親だけでなく、相手の両親にもきちんと子どもを会わせてあげたり、電話をしてあげたりすることです。そうすることで、子どもはさまざまな知識や知恵、経験を得ていき、将来にもいい影響を与えます。
次に、先祖供養のお話もしておきましょう。
先祖供養というと、お墓参りや法事のことを考えるかもしれません。たしかに、それも間違いではありませんし、とても大切な行為です。しかし、夫婦仲や嫁姑の関係が悪く、またどちらかの家族と縁を切っていたりすると、いくら神仏の前で手を合わせたところで本当の意味での先祖供養にはなりません。ただ「表面的」にお墓参りや法事をするだけでは、先祖供養とはいえないのです。
では、何が足りないのでしょうか。それは「心」です。心が愚かであれば、先祖供養にはならないのです。今の自分が存在するのは、ご先祖様があってこそ。今の家族があるのも、ご先祖様があってこそ。子どもがいるのだって、ご先祖様があってこそです。
言葉にするまでもありませんが、もちろん、夫側のご先祖、妻側のご先祖様がいらっしゃます。
つまり、自分の家庭、そして夫婦それぞれお互いに家族を大切にしていくことこそが、本当に大切な先祖供養なのです。
家族というのは、心の拠り所だったり、いつでも自分を受け入れてくれる場所だったり、人間が生きていくためにとても大切な場所であり、人生の地盤であるともいえるでしょう。その地盤をしっかり固めることができれば、生きることにも余裕がでてくるはずです。
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