人間が生きていくうえで大切なものはいくつかあります。“健康” であったり、愛情や友情といった精神的なものがよく語られるのではないでしょうか。
本当は大切であり、生きていくうえで必要であるはずなのに、意地汚いという印象を抱く人が多いのか、とかくあまり語られないのが “お金” です。より正確にいうなら “お金の使い方” になります。
お金については、家で「無駄遣いしないように」と言われるくらいで、お金の使い方について教えられることはほとんどないのではと思います。
お金の使い方は、仕事をしてお金をいただくことと同じくらい大切なことですので、子どもに対しても教えておくべきだと思います。
世の中には間違ったお金の使い方をしてしまうがゆえに、金銭トラブルに巻き込まれてしまう人がたくさんいます。
私のところにお金について相談にみえる方でいちばん多いのは借金問題です。クレジットカードを何枚も作り、カードローン地獄に陥ったり、借りたお金を返すために消費者金融を転々としたり……。首が回らなくなった結果、私のところに相談に来るのです。
ある50代の夫婦が、社会人の娘を連れて私のところにいらっしゃいました。内容は娘の借金についてです。
娘は高校卒業後に進学のために上京し、そのまま東京で就職しました。私のところに来た当時、社会人5年目だったのですが、社会人になったころから「給料が少なくて……」と、母親に泣きついてお金を借りていたのです。娘は「お父さんには黙っていて」と父親には内緒で借りていました。
月末の給料日間際になると、娘は毎月のように2万〜3万円を母から振り込んでもらっていました。この家庭は特別に裕福なほうではなかったので、母親は、「甘い」と言われてもしょうがないことは自覚していましたが、娘がかわいく心配なため、自分個人の口座から振り込む形で援助していたそうです。
娘は初めのころ、お金を借りたらあまり間を空けずに返していましたが、次第に返さなくなりました。このころ彼女に、「お金を借りている」という意識は薄れていました。泣きつけば母親がお金を貸してくれますし、返済の期限も催促も利子もあるわけではないので、徐々にお金を返さなくなっていきました。
妻が銀行に行く機会が増えたことに夫が気づき、問い詰めたことで娘の借金は発覚しました。父親はお金を借りていたこと、そしてそれを父親である自分に隠れて母親に借りていたことに激怒しました。
母親に借りていた分を月々きちんと返すようにきつく伝えましたが、その後も娘の生活ぶりは変わることがなく、今度は母親への返済を消費者金融で借りて返す有様でした。
父親はお金の使い方を教えるわけでもなく、娘のところに行って生活状態を把握しようとするわけでもなく、ただ厳しい言葉で叱るだけだったので、娘が変わることはなかったのです。
生活を変えることなく、消費者金融からお金を借りていれば、そのうちパンクしてしまいます。どうにもならなくなった娘は再び親を頼ったのですが、返済がきちんとあったので安心していた母親は、あまりのショックに倒れそうになったと言います。父親は怒りを通り越し、娘を見限る考えすらよぎったそうです。私のもとに相談に来たのはそんなときでした。
娘は正しいお金の使い方を知らないまま借金を重ねていましたが、「いつかなんとかなるだろう」という、軽い考えだったと言います。
20歳を超えた大人で、仕事もしているのですから、もちろん当事者である娘に責任があります。しかし、私は彼女のご両親に、
「確かに娘さんに責任はあります。しかし、お金で一度失敗したときに、“なぜ失敗したのか?” を考えることができずに、ただ怒ってばかりでは問題は解決しません。
“教えなければいけないこと” に気づけなかった親にも問題があります。人生の先輩として、幅広い知識を持ち、娘さんに伝えていかなければいけないと思います」
そう伝えました。
怒ることで解決したと考えるのは、自己満足の一種です。相手にわかってもらうより、自分の怒りの感情を納得させたいだけなのです。
怒るよりも、怒鳴りつけるよりも、教えて覚えさせることができるかどうかが、大切なのです。
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