「これからの夫婦二人きりの老後生活で、相手が亡くなって独りになったら寂しい。けれど、自分の子どもに面倒を見てもらうのは嫌」と言われる高齢者の方も少なくありません。
この言葉の裏には、
「老後を夫婦二人だけで暮らす計画やそのための努力もしてこなかった」
けれども、
「子どもとの間に十分な信頼関係を築いてきたという自信もないので今更頼るのも……」
という意味合いが含まれています。
要するに、過去・現在・未来というつながりの中で考えて行動してこなかったのです。
また、独りになったら寂しいから、その時になって子どもにすがろうとしても、それまで暮らしていた子どもからすれば、ただ困惑するだけです。
子どもには子どもの人生があり、生活があるからです。
親は、子どもが社会に出るまで成長を見守り、親としての役目を果たすことが大事で、子どもが社会人となり、所帯を持ったら、「ありがとう、苦労はしたけど子育て楽しかったよ」と子どもに告げて、親離れ、小離れをしていくものです。
それ以上子どもにしがみつかないことが、その後もお互いに成長し合える良い関係を維持できる。であるならば、子どもが親もとから離れる前から、自分が六十代、八十代になったらどんな生活をしたいかを思い描いて、そのために今、何をしていけばいいのかを考え、実行することが大事です。
老後の生活に向けて、自分たちなりの趣味や生きがいを持つ努力をしておくこと。それをせずに、結果的に子どもにしがみついたり、負担をかけてしまうのは、親としてはいかがなものかと思います。
実際に、それが原因で親子間のトラブルを抱えている方々もたくさんいらっしゃるわけですから。
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