私たちが生きていて本当に楽しくて笑い、穏やかな幸福感や充実感を感じるのは、人間関係ではないでしょうか。
何かを得たときに感じる幸福感や充実感ももちろん人生では必要なことですが、度が過ぎると欲を満たすためだけの行為になってしまいます。
しかし、人間関係はどうでしょうか。
人間関係をよくするということに、度が過ぎるということはありません。
そして、人間関係をよくすればよくするほど、どんどん幸福感が高まっていくのですが、これにも限度がありません。
自我が強すぎると、人間関係よりも自分の利を追い求めようとしてしまいます。
その結果、待っているのは “精神的孤独” です。
自分の利を追い求めても、その道に終わりはありません。
自分の利を追い求めるのは強い欲です。欲は満たされては空になり、満たされては空になりを繰り返すので、常に次の利を求めないと満足できなくなってしまいます。
このような「自分のためだけの行為」というものは、得てして継続せず、本領も発揮できないことが多いかと思います。
人は社会的な生き物ですから、本来、人のためにやる行為のほうが継続して本領を発揮することができるようになっているのです。
「誰かのため」
という力は、世界を変えるだけの力を十二分に持っていると思います。
人のために何かしてあげた結果、自分まで幸福を感じることができるのが、人間関係の素晴らしいところです。
人間関係をよくするということは、自分の人生そのものを幸福にするということです。
幸福な家庭を作ることも、自分と家庭との人間関係、仕事で成功することも、自分とほかの人たちとの人間関係です。
自分が関わる人たちとよりよい関係を結んでいけばよい循環が始まるので、「幸せになりたい」といった気持ちは願望ではなくなり、当然の結果として穏やかな心で生活していけるようになるのです。
「幸せになりたい」という気持ちは人生を向上させるうえでは原動力ともなりますから、とても重要なものです。
しかし、そのためには当然、日々の行為が伴わなければいけません。
ただ「幸せになりたい」と “願う” だけでは、幸福はやってこないのです。
また、「幸せになりたい」と願うばかりで行動していないと “我” が現れ、その願いはやがて嫉妬や怒りに変わってきてしまうこともあります。行動していない自分は棚に上げて、
「なんでこんなに幸せになりたいと願っているのに幸せになれないんだ」
「あの人はお金持ちでいいなぁ、世の中不公平だ」
「なんで自分だけ恋人ができないんだ。こんなに魅力的な私なのに!」
などといったように、“自分の外” に対して嫉妬や怒りを持つばかりで、自分が幸せになれない原因も外に求め始めてしまいます。
しかし、外に原因を求めても見つかりませんし、世の中を自分の思い通りに変えることもできません。
この状態が続いてしまうと自信喪失につながってしまうのですが、すると逆に自我は強くなっていくのでプライドが高くなり、人からのアドバイスを聞けなくなり、悪循環が始まります。
自信を喪失して行動できなくなっているときは、なんとかして行動しないように、行動しないようにと自我が仕向けてくるのですが、人間の人生は行動によって開かれていくものです。
人間関係も相手とコミュニケーションをとらなければ発展していかないのです。
「幸せになりたい」と願うのであれば、そのための行為をすぐにでもするべきです。
人に優しくするというシンプルなことをすればいいのですから、それをやらない理由はないのです。
あるとすれば、それは地獄の道を歩ませようとする自我の仕業です。
人に優しくするのを拒むということは、「人に優しくしたくない」ということになってしまいますが、それはどういった心理状態なのか、自分できちんと観察してみる必要があります。
そうすれば、「人に優しくしたくない」という、人の道理にはずれたことを考えているのは自我(自己中心的な自分)なんだということがわかります。
人生とは、たくさんの人からいろんなことを学び、自分で取捨選択して行動を起こし続けることで成立するものです。
どんなに核心を突いたアドバイスだとしても、聞く側の心が開いていて、かつ、実行力がなければ現実は何も変えることができません。その人にとってはきれいごと、机上の空論で終わってしまうのです。
しかし、アドバイスを聞いて行動できる人にとっては、きれいごとや机上の空論などではなく、目標を成し遂げるための実践的な方法論になります。
行動するかしないかという部分は、自分にしか決められません。いちばん大事な部分は、自分に委ねられているのです。ですから、自分の言動には責任を持たなければいけないのです。
人間関係は、幸福な人生には欠かせないものです。人を見る目を養い、人に尽くすということは、自分自身を大切にするという生き方につながるのです。
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