負の感情が発生したとき、自分を観察することで、冷静な自分を取り戻すことができるということは、『負の感情への対処法』でお話しました。しかし、この方法を行っていたとしても、何度もぶり返してくるのが負の感情というもの。
しかし、この “何度もぶり返してくる負の感情” は、自ら作り出してしまっているのです。
たとえば、職場で上司に必要以上に仕事のミスを咎められ、ふつふつと怒りが湧いてきたとします。このときの感情は、上司の言葉を受け取ったことで、条件反射で生まれたものなので、そのうち忘れてしまいます。
家に帰ったその夜、昼間に上司に言われたことを思い出し、また怒りが湧いてきました。この感情は、上司の言葉によるものでしょうか?
一見、同じように見えるふたつの怒りですが、後者の怒りは自分の妄想によって作り上げた感情なのです。
どういうことかといいますと、家に帰ってから昼間の言葉を “思い出し”、いろいろなことを考えます。
「やっぱり私は悪くない。あの上司は言葉がきつすぎるし、意地悪な言い方をする」
この時点ですでに怒りの感情が発生し、感情的になっているのです。
目の前に上司はいませんし、何か暴言を吐かれているわけでもないのに、過去のことを自ら思い出し、あれこれとわざわざありもしない、怒りを生み出すようなことを妄想してしまうのです。
人間は意識していないと、こういうことをいつまでも繰り返します。とくに怒りの感情はあなたのことを、思い出しては怒り、思い出しては怒りを何度も繰り返す、怒りの再生工場のようにしてしまうのです。
負の感情は、発生した瞬間はとても耐えられなさそうに思えてしまいますが、発生しては消え、発生しては消えていく霧のようなもの。ずっと継続するものではありません。
自分の感情を言語化して意識を集中し、第三者のような冷静な視点で自分を見れば、自ら作り出してしまっている負の感情に対しても対処できるでしょう。
「今、自分で勝手に妄想をして、怒っているな。でも、この感情はすぐに収まる」と、その瞬間の自分を言語化するのです。
こうしたことを日常的に行っていれば、感情はうまくコントロールできるようになります。
しかし、「感情的にならないようになりたい」と思っていると気持ちが先走ってしまい、直そうと思っているのに同じように妄想で負の感情を生み出してしまう自分を、許せなくなってくることがあります。すると、
「こんなに頑張っているのに直せないのは、この性格は変えられないということなんだな……」
と、勝手に決めつけてしまって、諦めてしまうことがあるのです。
人間は動物的な反応である感情を持っていると同時に、自分の言動をコントロールする理性も持ち合わせています。
しかしこの理性は、普段はうまく使えているのですが、いざ感情が爆発してしまったときには、隅っこに追いやられてしまいます。基本的には、理性より感情のエネルギーのほうが人間は大きいのです。
ですから、体験した負の感情を、少し時間が立ってからまた思い出して、ありもしないことを妄想してしまうのは仕方がないこと。そういうようにできているのです。だからこそ、それをまずは認めることが大切なのだと思います。
「私ならすぐに直せるはず」などという根拠のない自信は捨てて、「何度も感情をぶり返してしまうのが人間」ということを前提として、日々、継続していくことです。
継続が日常になったとき、あなたは感情に振り回されてしまうことはなくなるでしょう。
負の感情に対して無自覚で振り回されてしまうのと、負の感情が湧き上がりつつも、注意を向けて観察しているのとでは、心のあり方に実に大きな違いがあるので、言動がまったく違ってきます。
観察するということは、物事の仕組みを分析するということ。
人間は、案外自分というものに対して無自覚で、知らない間に感情を相手にぶつけてしまうがゆえに、摩擦を生んでしまいます。自分の仕組みを知ることで、いつでも冷静さを保つことができるのです。
負の感情は人間関係において摩擦しか生み出しません。摩擦が生み出す結果は、対立や別れです。しかし、自分の感情を観察することで、負の感情をコントロールできるようになれるのです。
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