相手が友人や職場の人なら、ある程度心の距離を保ちながら、それなりに気を遣った交流を心がけるでしょう。
ところが、家族となると、つい慣れから相手のことをわかっているつもりになったり、知らない間に甘えが「わがまま」の形で感情的に出ることも多くなります。
しかし、家族とはいえ一人の人間です。
甘え過ぎると、そこで人としての成長、つまり、自分の不足な部分に気づかないまま止まってしまうので、気をつけなくてはいけません。
とはいえ、家族間におけるなれあいは、距離が近過ぎてなかなか気づきにくいものです。
ですから、家族とはいえ、一人の人間という考え方や、相手に対する正しい理解力が求められます。
特に、女性に比べて男性は、ちょっとした相手の変化や心情に気づきにくいようです。実際、女性からこんな不満の声をよく聞くことがあります。
「うちの主人は気がきかない」
「こちらの気遣いをまったくわかってくれない」
「言葉に出さないとわかってもらえない」
言葉にしなくても、気がついたり、察する心、これは人にもよりますが、男性と女性の根本的な違いで、「男女では脳の構造に違いがある」ということを本で読んだことがありますが、「うん、確かに! ごもっとも」と納得できる部分が充分あります。
しかし、家事などでもお互いが義務感や責任感を持って協力しあっていかなければ、生活するうえで片方の負担が多過ぎて、満杯状態のストレスからちょっとしたことで爆発してしまうこともあるでしょう。
それゆえ、男女共に相手に対する理解と思いやりが求められるわけですが、戦後七十年過ぎた今でも、「家事や育児に専念するのは女性の役割」と考える男性は多いようです。
一方、女性からすると、男性とは違った見方、考え方があります。
例えば、奥さんが家事や育児に追われて心に余裕がなくなっているのに、傍らにいるご主人が察してあげられないでいるとストレスが溜まり、いつもなら我慢できることなのに、何かの拍子に爆発して喧嘩になることはよくあることです。
ちなみに、相談者の男性Fさんにこんな体験がありました。
Fさんの奥さんは、とてもよく気がつく人で、近所でも「Fさんの奥さんはとても良く気がきくわね」と評判でした。
一方、Fさんは、男性にありがちな、言われないと気づかないタイプ。
なので、奥さんからすると、「気がきかない旦那さま」。
実際、Fさんはせっせと家事や仕事をしている奥さんの姿をはた目で見ながら、「ああ、うまくやっていっているんだな」と奥さんの本心に気づかずに、安心していたそうです。
そんなある日、夫が妻に、疲れているだろうにいつも悪いなという気持ちからか手伝おうとしたところ、奥さんから「そうじゃない、そんなやり方したら私が困るの。あなたはわかってない。だからかまわないで」と言われ、それ以来、Fさんは妻に余計な口出しをしないようになったといいます。
これは妻と夫のすれ違いの一例ですが、夫婦間の日々のちょっとしたズレの積み重ねから心身共に疲れてきて、ヒステリックに怒鳴ってしまう奥様方も少なくないかもしれません。
しかし、角度を変えて見ると、「夫を家庭の中で教育していくチャンス」でもあるわけで、ただ疲れて感情的になるのは、そのチャンスを逃している、夫の操縦不足とも言えます。
操縦不足のままで喧嘩の花火をドンパチドンパチあげながら、老後をむかえる頃に、「夫の洗濯物にも触りたくない」という状態になっては人生むなし過ぎないでしょうか?
一方、夫はなぜ妻が怒っているのかがわからず、
「俺だって大変なんだ」
「それはお前の仕事だろ」
「せっかく手伝ってあげているのにその言い方は何だ!」
とかえって反発して、喧嘩になってしまいます。
要は、感情的になりやすいという女性にありがちな問題を踏まえたうえで、できるだけ男性によく見受けられる性質を理解し、夫を上手に教育(操縦)していく知識、知恵も必要だということです。
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