人生は〝苦難〟の連続です。長く生きていればつらくて投げ出したくなるような出来事に遭遇することは一度や二度ではないでしょう。でも、それはある意味当然のことです。なぜなら人生(今生)で遭遇する〝苦難〟は、前世から抱えたカルマを解消するための試練(修行の場)であるのですから、つらく苦しいことに遭遇するのが当然なのです。かのお釈迦様も生きることに苦しみ、生の実相は「四苦八苦」であるという言葉を残しています。
ただ、みなさんにはしっかりご理解していただきたいのですが、影があれば光もあるように、人生は苦しみだけではないということです。楽しい、嬉しい、幸せな瞬間も無数にあるはずです。苦しみの影が濃ければ濃いほど、光もまた強く当たるのです。つまり、今生で遭遇したあるひとつの(悪いカルマが作り出す)苦難を乗り越えたときに、人は前世から抱えたあるカルマを解消して、心=魂が成長するのです。乗り越えた先にはそれまでとは違う景色を見出せるはずです。ですから、言い換えれば苦難は人生に不可欠な要素だといえます。
これをもっと深い観点からいいますと、すべてのカルマを解消した者は〝覚者〟になり、輪廻転生の輪から抜け出しますから、いま生きているすべての人間は誰ひとりの例外もなく生まれ変わりの輪廻の中にいて、前世からのカルマを背負っているということなのです。生まれ変わり何度も生を受けるのはカルマを解消できていないからであって、つまりは、カルマを解消するために生まれ変わっているのです。ですから、(カルマが作り出す)苦難は人生にあって当然のものなのです。
しかし、苦難が人生の大事だからといって、そればかりを見つめすぎないようにご注意していただきたいと思います。あまりにも「つらい」、「苦しい」という思いばかりに囚われてしまうと、生きていることそのものが〝地獄〟となってしまいます。天国や地獄というのは死後のことや作り話ではなく、この世で生きている私たちの心のあり方ひとつだからです。どういうことかといいますと、すべての事象は捉え方や考え方ひとつで意味合いが大きく変わるということです。
たとえば、小説や映画、テレビドラマ等なんでもいいですが、あるひとつの作品を多くの人が鑑賞したとしましょう。その作品に対する感想はみなそれぞれ違うはずです。なぜなら受け手には十人十色の経験や感受性があるからです。人間には「感情」や「思考」がありますから、あるひとつの作品を鑑賞しても、「おもしろい」、「つまらない」、「感動した」、「興ざめした」など、千差万別の感想が生まれます。人によって受け止め方が違うのは当然です。そこに至るまでの人生経験が違うのですから。
私がいいたいのは、これは映画や小説といった作品にとどまらず、実生活で起きるさまざまな出来事も同様だということです。考え方や受け止め方が違うということは、極端にいえば見ている世界が違うということ。ここには何が正しくて何が間違っているということはないのです。
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