心の不足、知識不足ゆえの連鎖__それは足音もなく子どもの心に忍び寄り、いつしか「気づけない大人」となってしまい、結婚、出産を経て、さらに子や孫へとその連鎖が続いていきます。
かれこれ30年以上、数多くの人たちと接してきた中で、私はそのような気づけない心の連鎖が、さまざまな人間関係のトラブル、問題の原点にある、と強く感じています。
私たちは、誰もがカルマゆえの縁で親子、兄弟、親族となってこの世に誕生します。
その家庭の中では親から子へ、子から孫へ情愛の中で物事を伝え、その家庭ごとのしきたりや考え方、伝統や習慣を伝達しながら成長し、やがて分家になったり嫁に行ったりする人生の中で、自分が生まれ育った時に教えられたことがわが子に伝達されていきます。
それは何も言葉だけに限らず、人と接する態度や立ち居振る舞いとして、無意識に心に刻まれていくものです。
しかし、そこにはその家庭でしか通用しない習慣や文化も多く、「自分が生まれ育った環境とはまったく違う考え方や文化がある」ことを知らずにいると、知識不足のまま大人になってしまい、まさに「井の中の蛙」になりかねないのです。
他人の目に触れない家庭の中で、自分たちが気づいていない心のクセや偏った考えを持ったまま、その習慣に違和感を持つことなく人と接すると、対人関係においてマイナスに働いてしまう__それが悪い連鎖を断ち切れず、同じ親族間で継続してしまう理由です。
ようするに、連鎖には、「子孫の知識と気づきを促す良い連鎖」と、「先祖の知識不足がくい止められずに後世に続いてしまう悪い連鎖」があり、その連鎖が本人のカルマと複雑に絡み合っているということなのです。
そして、幾度となく輪廻転生をくり返す中で、今回の人生において悪いカルマをどれだけ解消できるかによって、来世に転生した時の「幸福の度合い」が決定されます。
魂から見ると、それこそが私たちが生まれてきた理由であり、目的なのです。
ようするに、過去世のカルマが、
「連鎖を直さず、それを継続する家庭に生まれる」
か、それとも、
「親となる人間が連鎖の欠点に気づき、教え、直してくれる家庭に生まれるか」
のいずれかを決めるのです。
であるならば、先祖が断ち切れなかった悪い連鎖を、子孫である私たち一人ひとりが今こそ断ち切って、「気づけない心」から、「気づける心」へと成長しなくてはなりません。
悪い連鎖に気づいて、断ち切れるかどうかが、本人の幸・不幸はもちろん、子や孫の人生までをも大きく決定づけてしまうといっても過言ではないからです。
先祖も親も気づけず、断ち切れなかった連鎖__それを子である自分の代で断ち切ることが、自らの悪しきカルマから解放される道であり、過去世の罪を償うのも同じこと。
自分の意思で気づいて、その連鎖を断ち切らなければ、先祖や親たちが気づかなかったことに、また、自分も気づけないままでは、幸せに至る道へと脱出することは難しい……。
連鎖を断ち切り、カルマを解消することが、幸せに至る気づきの道です。
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