「縁」には良縁だけでなく、悪縁、くされ縁など実にさまざまな種類があります。しかし、縁があるからこそ出会いがあり、自分以外の人と運命的な関わりができるのも事実。善きにつけ悪しきにつけ「縁」のある相手とは互いに影響を受け合い、前世から続くカルマに気づくきっかけを与えてくれるものなのです。
中でもその一つ「良縁」は、心から相手を思いやる関係から生まれる、純粋で素直な心が育んでくれるもの。
相手のことを本当に思いやるためには、単純な話、まず何よりも相手のことが好きでなくてはなりません。
私自身、ご相談にみえる多くの方々と、これまでさまざまなご縁を結んできました。どんな出会いであっても、常に学ぶことは多く、ご縁を結んだ後も考えさせられ、気づきにつながることは多いのだなと、心を新たにすることもしばしばです。
長く連れ添った仲の良いご夫婦、子育てに悩みながらも溢れんばかりの愛情を子どもへ注ぐ母親など、それぞれが心配ごとを携えてご相談に来ていても、相手を思いやる豊かな心を持った方々にお会いできると、相談を聞く立場の私自身が心癒されることがあります。
シングルマザーとして、ひとり娘を大切に育ててきたという母親が、高校に入ってから急に家を留守にすることが多くなった娘の気持ちが分からないと、心身ともに疲労して私のところへやってきました。
二人の暮らしを透視してみると、貧しいながらも身を粉にして働き、娘の幸せだけを願う母の身体を心配し、少しでも楽をしてほしいとアルバイトに励むお嬢さんの健気な姿が見えてきました。
何のことはない、お互いを思いやるあまり、何も語らずにそれぞれが行動していたことからすれ違い、誤解を招いてしまっていたのです。
互いが好意を持っている相手同士であっても、やはり言うべきことは言葉にしなければ、肝心なことは伝わりません。今回のケースは、端から見たらある意味で微笑ましいエピソードですが、互いが自分をないがしろにして相手のことばかりを考えてきた結果、当事者である二人には心痛を伴うほど辛い出来事になってしまいました。
他人のことを心から大切にするためには、まずは自分自身を大切にし、愛することが必要なのです。
自分自身を大切にすることで良いご縁を築き、お互いが深く理解しあうためにも、自らを慈しむことを忘れないようにしてください。
人と和合するための感性や品格を身につけること。それが自分を好きになる第一歩になるでしょう。
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