昨今の子育てに関する悩みの中でも、とりわけ深刻になっていることのひとつに、いじめの問題があります。
私のところにも、いじめ問題に関わるさまざまな立場の人が、全国各地から相談におみえになります。
この拝殿の中で、いじめの現場の生の声を、日々、耳にし、現場での実状を知るにつけ、いじめ問題について考え込むことが増えております。
ご相談にみえる方の中には、いじめで子どもを亡くされた方もおり、子どもに先立たれた親の身の置き場がない深い嘆き、悲しみ、無念さ、つらさに触れるたび、私も心が痛くなります。
そのような現実を目にするたび、いじめで苦しんでいる子どもたちをなんとかして救いたい、また、学校の教師や親をも救いたいという思いに駆られるのです。
そして、拝殿でそのような方々と接するうちに、私は、この「いじめ」という言葉の使い方そのものに問題があるのではと考えるようになりました。
そこで、非難を浴びることも覚悟したうえで、拝殿での現実を交えながら、いじめ問題における私の考えをお話させていただこうと思います。
まず、初めにご理解いただきたいのは、「いじめ」という言葉には2種類の意味が含まれているということです。
たとえば、「何もしていないのに誹謗中傷を受けたり、肉体的、精神的な暴力を受ける」のは、これはまぎれもないいじめですから、親、そして学校、いじめの当事者同士が話し合いのもとに解決していく必要があると思います。
そして、注意して考えていただきたいのは、「いじめられていると〝思っている〟子どもにもともと根本的な原因がある場合」です。こういったケースを、私は「いじめではない」と解釈しています。
これはどういうことかといいますと、たとえば、「中学2年生の息子がいじめを受け、登校拒否になってしまった」とご相談にみえたご夫婦がいます。
透視をしてみますと、結果的にはクラスで仲間外れにされ、孤立しているのですが、その原因は孤立した子どもにありました。そこで、このご夫婦に、
「あなたの子どもは確かにクラスで孤立し、それが学校に行きたくない原因ですが、クラスで孤立してしまった原因はあなたたちの子どもにあるようです。そこで気をつけて考えてほしいことは……」
と、核心に入ろうとすると、
「何を言ってるんですか! うちの子が悪いと言うんですか! 現に、うちの子はクラスで仲間外れにされ、学校に行けなくなってるんですよ!」
と、すごい剣幕で父親が怒りだしてしまいました。
この息子さんは、クラスの子たちと仲良くしたいがために、注目を集めることで友達ができると思い、授業中に大きな声で騒いだり、机の上に乗ってみたり、クラスメートに必要以上にちょっかいを出して怒らせるなど、クラスのみんなに迷惑がかかる行動をとっていました。
そうしているうちに、当然、先生やクラスメートから厳しく注意されるようになり、やがてクラス全体から相手にされなくなってしまったのです。
このように、実は学校で悪ふざけをして騒いだり、友達にいじわるをしているのに、家庭の中ではいい子でいるために、親が我が子の実態に気がつかないということがあるのです。この家族の場合もそうでした。
これは、大きな問題だと思います。
なぜなら、この問題の背景には、厳しい言い方になりますが、幼少期からの子育ての間違いが反映されていると私は思っているからです。
ただ、私が親がこの部分に気づいて子育てをしていけば、「子どもを救える」と確信しております。また、「子どもを救うことは親を救うことでもある」と思うからこそ、意を決してこちらに書かせていただきました。
より深くご理解いただくため、この例についての事の次第を説明していきましょう。
まず、いちばん大きな問題は、叱る子育てにあります。物心ついた頃から、「それではだめ。こうしなさい」「そんなことしちゃだめだって言ったでしょ」というように、命令口調で育てることに、問題の根っこがあるのです。
幼い子どもにとっては家の中が世界のすべてと言えますから、そのように圧力をかけられると、何をするにしても、親の顔色を伺うようになっていきます。さらに、どうすれば怒られなくて済むのか、といったことばかりに気をとられるようになってしまうのです。
いわば、怒られない術というものを、日々、家の中で学習しながら育っていくわけです。
そのように育っていくうちに、やがて、親の言うことにはなんでも従うようになっていきます。
叱られた意味がわからなくても、ただ従順でありさえすれば親の笑顔が見られるということが、頭にインプットされてしまうのです。
もちろん、「だめ、だめ」の連発でただ叱られるだけですので、物の道理、やっていいことと悪いことの区別は身につかないままです。心は育たないままに、身体だけが成長していってしまうのです。
そうであるにもかかわらず、中学生になっても、表面的にはなんでも親の言いつけを「はい、はい」と聞く「いい子」です。
そのため、親からすると、自分の育て方が正しいからいい子に育っているんだと信じて疑いません。
さらに、自分の育て方が間違っていることに気がつかないどころか、自分の子育てに自信を持ってしまうケースも多いのです。
実は、ここに大きな落とし穴があります。
子どもの心に目を向けることなく、親の権限を使ってただ押さえつけ、親の言いつけを守りさえすればいい子育てだと自負するのは、子どもの教育において、親の知識不足が原因の大きなマイナス点です。
そのような子育ては、自分の意のままに動くロボットを作っていると言えるのではないでしょうか。心を無視して、叱責の言葉という見えないヒモで子どもをぐるぐるとがんじがらめに縛りつけているようなものなのです。
そんなふうに締めつけられて育った子どもは、叱られないために毎日無理をしていますから、当然、ストレスが溜まっています。
そのような子どもにとって、学校は親からの圧力におびやかされない場所。親によるストレスから開放される場所となります。
そういった子どもは、やがて、学校の中でじっとしていられなくなります。
先ほどお話したご夫婦の子も、ただただ注目を集めたいがためにやっているので、きゃーきゃー騒がれるとさらにちょっかいを出し、時には女の子を泣かせてしまったりすることもあったようです。もちろん、本人に悪意はなく、ただ友達がほしかっただけです。
ただ、恐ろしいことに、この親子と話してみると、子どものほうは「初めはみんな、僕のやることを喜んでいた。笑っていたし、好かれていたと思う」ということを言い、親のほうも、「登校拒否になるまで、うちの子はみんなに好かれていて、友達も多いと思っていた」と言いました。ここに親と子の苦しみがあることにさえ、気づいていませんでした。
そのようなこともあり、クラスメートから、「そんなことやっちゃだめじゃないか」と注意されても止めなかったのです(厳密に言うと止められない)。なぜなら、物の道理もわからず、人の気持ちも理解できないままに育っているため、何をしたら悪いのかということ自体がわからないのです。
でもその子は、友達を作って、一緒に遊びたかっただけなのです。
そうであるにもかかわらず、人との接し方も身についていないために、どうやって仲良くなっていけばいいのかがわからないのです。
その子のとっては、目立つ行動をして、みんなから注目を浴びることが、唯一のコミュニケーションの方法なのです。でも、クラスメートはいじわるをされているわけですから、次第に誰も相手にしなくなっていき、孤立してしまうわけです。
そうなると、親にとってはまさに青天の霹靂です。自分は子育てに成功していると信じているわけですから、「うちの子はいい子なのに、なんで登校拒否になるのか。これはクラスの担任が悪いに違いない」という考えにいたるわけです。
そこで、学校に事情を聞きに行くと、担任からは思いもよらないような我が子の行動を聞かされます。もちろん、信じられるわけがありません。
「うちの子がそんなことをするはずがない」と頑として受けつけず、さらには、「この先生の言うことは信じられない、校長に会わせろ! 教育委員会に行くぞ!」となり、担任も疲れ果ててしまうことになるのです。
また、こういう経緯で登校拒否になってしまうと長引くケースが多いのも問題と言えるでしょう。なぜなら、自分はしっかりと子育てをしてきたという親の自負心と子どもの屈折した感情が絡み合い、登校拒否から抜け出す道を塞いでしまうからです。
このような「いじめではないいじめ」というのは、その根本的な問題に気づいて、「いじめられていると思っている側の子の性格の問題」を直していかなければ、なんの解決にもなりません。
こういったケースが最近はとても多く、根本的な問題に気づかずにいると、やがて子どもが統合失調症など、精神のバランスを崩すような事態にも発展しかねません。
20代、30代、さらには40代になっても精神バランスを崩したままで、逃げ惑うような心を抱えたまま過ごしている方に接すると、まことに気の毒でなりません。
ただ、そのような方がご両親と私のところにおみえになった場合は、根本にある問題を深くご理解いただくように努めております。
そして、問題の根っこに気づくことで、「おかげさまで、未来に希望を持てるようになりました。やっと救われました」とおっしゃっていただくことも増えております。
今、問題を抱えている方も、「原点で何があったのか。何が原因で精神のバランスを崩したのか」ということを理解し、どうか勇気をふるって立ち上がってください。
何年も何十年も前のあなたの落ち度は、若くてやんちゃだった時代の話です。そのときのことは、クラスメートたちはすでに忘れ去っているでしょう。なぜなら、彼らもまたやんちゃだったわけですし、逆に「悪かったな」と反省しているかもしれません。
ですから、これからは前を向いて希望のほうへと歩まれ、心の迷いから抜け出られることを望んでやみません。
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