「素直であること」、「感謝すること」、「反省すること」、「許すこと」、それが神に愛される生き方につながります。
この中の「感謝すること」は、人に対してはもちろんですが、物に対しても同じで、物を大切に扱うことによって心が豊かになることもあります。
よく「断捨離」という言葉を聞きます。私も長い間車庫に置いてあった物を整理し、断捨離をしてみましたが、よくよく考えてみると、捨てるだけが能でもないことに気づきました。
断捨離をする前に、まず物を買わない方法もあります。
そして、本当に必要な物にお金をかけることや、大切な物をできるだけ長く使うことも大事です。
要は、どのような心の状態で物を買うか、物に接しているかです。ストレス解消のために安い物ばかり買い集めても、結局使いきれなかったり、まだリサイクルできるのに捨ててしまったり、リフォームできるのに壊してしまう。
そのように、心にしっかりとした目的が得られないまま買い物をし、断捨離を繰り返したとしても、結局のところは元の木阿弥で、衣服でも家でも物に囲まれた生活に戻ってしまうのでしょう。
また、一人暮らしの人はまだしも、家族がいたら勝手に物を処分したり、家族の愛着があるものまで捨ててしまったら、トラブルのもとになります。
例えば、本にしても、愛着がある本ほど、生涯手もとに置いておきたいもの。それまで何度も読んでいても、時がたって読んだらまた違った点に気づけたり、あるいは、将来自分の子供が興味を持ってその本を手にするかもしれないからです。
住まいにおいても同様で、私も家をリフォームする際、「その家で大切に使っていた古い物を一つ使うとよい」という話を聞いて、昔の家のテーブルを拝殿で机代わりに使用しています。
このテーブルは、今は亡き両親にとっては大切な買い物で、今から60年ほども前、私が小学生の頃、長女である私の姉が結婚するとき、親類縁者の来客を迎えるために購入したものです。
母が嫁がせる娘に対する愛情の心で買ったテーブル、私にその当時の話をしてくれた母の顔が、50年過ぎても昨日のことのように記憶に残っていて、私も、我が子を嫁に出す親の愛情を理解できる歳になりました。
子供の頃は座敷に置いてあったそのテーブルを大切な両親への思いとともに処分せず、足にキャスターをつけて再利用することにして、今は拝殿の前で大事なお役目を果たしてくれています。
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